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漢方閑話⑭ 過敏性腸症候群

「漢方閑話」は『富士ニュース』に投稿しているコラムです。
こちらでは過去に投稿したものを転載します。
今回は2017年7月に投稿された漢方閑話をご紹介します。

◇若い女性が胸に小さな子供さんを抱いて立ち寄られました。「買い物に来たのではないのですが・・・」と断ったうえで、今日はこの子の赤ちゃん体操がラホールであったものですからちょっと寄らせてもらったと言われ、以前に不妊相談で来店したおりに睡眠時間が問題になり、早く寝るようにして10時には寝て朝は其の分早く起きるようにした。そしたらこの子に恵まれました。と言われるのです。もちろん進んだ医療も受けてのおめでたでしたが生活習慣の改善で子宝にめぐまれたと言われることは嬉しいことでした。動物でも夜は寝どころに帰って休みます。それを現代人は夜遅く10時過ぎから1時過ぎまで起きているような生活習慣になり健康を損ねています。
◇50代の女性は長年便秘と下痢に苦しんできました。悩み事があってくよくよと考え事をすると下痢になりいらいらすると便秘になる症状の繰り返しでした。過敏性腸症候群と診断されています。疲れやすく貧血があり神経質で肩が凝り、それは寝ても解消されることがありません。そのために途中で目が覚め夢をよく見ます。顔色はすぐれず、下肢がむくみ、からだの動揺感があります。月経周期は27日型で月経周期は7日、月経期の血塊はありません。舌のいろは赤紫で舌下の怒張があります。血圧は低く身体がふわふわしたようなめまい感があると言います。女性は長い間の便秘と下痢ですっかり神経質になっています。
◇便秘と下痢を繰り返すのは脾胃の働きの失調です。食べ物が胃に入ると胃は水穀を受け取りよくこなして栄養分に腐熟しそれを脾に送ります。脾は其の水穀の精微を上焦の心に送り赤い血に化し心は血脈を支配しています。胃から脾に送られた水穀の精微は小腸でさらに吸収され清濁に分けられ、その濁なる糟粕は大腸に送られます。脾の水穀の精微を上焦の心肺に送り、胃から大腸への糟粕を伝導するのは肝の働きです。神経遣いによって肝気がのびやかになりませんと肝気が鬱滞し脾気は運化機能が失調し上昇できず下陥し下痢します。肝気が鬱滞し糟粕の伝導作用が鬱滞しますと便秘になります。長い間の便秘と下痢の交互に起きる変調は全身の精神思惟活動を疲弊させ心身症となり脳を養う腎気や心気をも弱らせました。腎精や心血を養うのは脾気です。心脾の衰えを補い肝気を疏泄し腎精を補いますと病症は除かれました。

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