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漢方閑話⑦痛風
「漢方閑話」は『富士ニュース』に投稿しているコラムです。
こちらでは過去に投稿したものを転載します。
今回は2017年1月に投稿された漢方閑話をご紹介します。
痛風
◇40代の男性は痛風発作の痛みに苦しんできました。酒が好きで身長181cm、体重は83kgあります。肥満度を示すBMIは25.34、肥満度は1、適正体重より10.93kgオーバしています。舌の左側には血管腫があります。胃腸が弱くよくお腹をこわします。体重を少しでも減らそうとサウナに通っています。便通はよく小便の色は濃い黄色です。右足の親指が腫れ張った感じがしています。水は1日2ℓ以上飲むようにしています。正月で酒やおいしいものを一杯食べた体には痛風発作発症の体質的な土壌が醸成されています。
◇痛風の原因は高尿酸血漿です。血液中に尿酸が過剰になりますと体の中に尿酸の結晶が出来、からだの関節や腱、靭帯の中に沈着し関節炎を誘発します。尿酸はプリン体と呼ばれる細胞内の情報伝達やエネルギーに関する基本物質の最終代謝産物でいわば身体の老廃物、燃えカスです。プリン体の多い食品として牛、豚、鶏のレバー、カツオ、マイワシなどが上げられています。酒には尿酸を上げる作用があります。プリン体ゼロ、糖質ゼロのビールのTV広告が流されています。ビールや醸造酒にはプリン体とともに糖質も含まれています。糖質は膵臓からのインスリンの分泌を高めインスリンは血糖値を下げる作用とともに尿酸の排出を妨げ血中の尿酸値を上げます。プリン体を多く含む食べ物の摂取に注意し大便から小便から尿酸を留めず排出することが大切です。巷に氾濫する清涼飲料水やジュース類の中の蔗糖、果糖は血糖値を上げるとともに尿酸の量を増やしてしまい、糖質の「ヘドロ」である終末糖化産物(AGEs)も生活習慣病の原因となります。
◇漢方では痛風は湿熱、瘀血や瘀热、痰濁、肝腎陰虚などが痛風の原因であり病的な根拠と考えてきました。体内の水分である津液が外因の風、寒、湿、熱、燥邪などにより痛風発作のきっかけとなり、血の滞りは瘀血となり熱を持ち、水分の滞りは痰濁となり代謝を阻害し体力の衰えは肝腎の体力不足となって痛風を慢性化させます。この人は胃腸が弱く湿熱をためそのために小便も濃い黄色で湿熱が足の親指などの関節に集中しました。舌には血管腫があり瘀血の存在も認められましたので胃腸を健康にして湿熱を小便から排泄し体液が煮詰まるのを防ぎ血の滞りを改善しますと痛風からの発作から解放されました。