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漢方閑話⑬ 更年期障害

「漢方閑話」は『富士ニュース』に投稿しているコラムです。
こちらでは過去に投稿したものを転載します。
今回は2017年5月に投稿された漢方閑話をご紹介します。

 

◇45才の女性は更年期障害で悩んできました。38才で若年性更年期障害と診断され以来病院でホルモン補充療法を受け経過も順調でした。しかしこの数年来病院通いに疑問を抱き漢方薬を試したいと言います。体重は60kg、身長は164cm、店を経営し元気いっぱいの女性です。月経周期は43歳までは二か月に一度はあったもののそれ以後は無月経になってしまいました。それと同時に身体が突然熱くなり顔はほてり下半身から熱さが上半身に上ってくる感じがします。季節性や時間性はなく、年中、いつでも日中でも夜中でもかっと顔から上半身まで汗が吹きだしてきます。仕事は充実し明るい性格です。血圧、大小便は正常。仕事が忙しく夜10時過ぎに帰宅、就寝は午前1時30分、起床は7時。睡眠障害はなくぐっすり眠れる。肩こりがあり夕方には少しむくむ。40才より老眼となり眼がしょぼしょぼする。
◇女性は通常45才から55才前後で閉経を迎えるまで月経、妊娠、出産、授乳を経験し非常に多くの血液や精を消耗しています。閉経を迎える前後、ある人々は何事もなくこの年をやり過ごし閉経し老年期に入っていきますがある人々は更年期障害に悩みほてり、のぼせ、熱感、発汗、肩こり、記憶力減退などの様々な症状が発現します。ホルモンの失調や自律神経の異常と考えられています。漢方では体の全身をみて考えます。ヒトの老化は腎の機能の衰えです。腎は精を蔵し脳髄を生み、精は化して肝血となり、骨を生じ、歯を支配しています。腎は水の臓と言われ全身の水分、精、血などの陰分を司る一方、命門と言われる火の元を司り全身を温め、膀胱の水分を気化し全身を潤しています。上部にある心とは互いに交流し心は全身の熱源です。水臓の腎と火臓の心とは心の火が水(精血)不足で燃え上がらないように腎は水を送り腎が寒さで凍えないように心は腎に熱を送っています。肝は血を蔵し、腎に血を送り、肝と腎は互いに精血を補充し合っています。水源地である腎が衰え水を送ることが出来ないと心火は燃え上がり熱感を持ちのぼせ、汗が吹き出し、ホットフラッシュと呼ばれる更年期症状が起こります。肝血が消耗すれば月経血は涸れ稀発月経となりやがて閉経します。若くして閉経し老眼になったというのは肝腎不足です。心火の上炎を抑制し腎水肝血を増やしますと諸症状は改善しました。

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